主催者挨拶


岡本雄三
帰巌会岡本病院理事長
(バイオフィリア リハビリテーション学会副会長)

 此度大分の地でバイオフィリア リハビリテーション学会 第7回大会を開催するに当り、私如き名も無き一開業医がお世話させて戴く事は無上の光栄でございまして、まことに僭越とは存じますが浅学非才の身をかえり見ず一言御挨拶申上げます。

 私は、田舎の開業整形外科医として今日迄33年間地域に於ける在宅重度身体障害者訪問診査事業を続け、訪問総数も1200例を数えます、此事業を通じて、従来行われている我国の施設リハビリテーション(リハビリ)が在宅で殆ど効果を上げる事なく寝たきりになっているケースがかなり多く、施設リハジムの姿をそのまま在宅に再現しようとしたり、利用者も施設リハから得た知識を在宅に活かそうと涙ぐましい努力跡が見られます。

 しかし、やがてはそれも徒労に終わり、在宅寝たきりに陥って行く過程が数多く残されて居りました。欧米型のバリアフリー空間で行われる施設リハビリはそれなりにかなりの効果が期待出来ますが、これがそのまま在宅で通用するには様々なマンパワーを含め物理的、経済的障害がありまして実現困難であると考えられます。

 又その一方で全く施設リハビリの体験がない障害者が時々見うけられますが、その多くは畳の部屋でフトンにくるまり、上手に這って自力で掘ゴタツに移動し家族の団欒に加わって居ります。しかし此様な人にベッドをすすめると忽ち寝たきりになってしまいます。

 その一方で、ベッド上で寝たきりになって居る人を畳に降ろして這う様にすすめると自然に這う動作を示します。 這うと云う事はアイラインが低く蔑視と受け取られ、欧米人は車椅子でアイラインの高さを保つリハビリをすすめて来た様に思います。しかし和風空間の畳の上では全く別の問題で、健常人と這ってアイラインをつなぐ事が出来るし、這って立ち上がる事が出来れば安全で転倒予防につながる筈です。

 今日国を挙げて立て、歩けと云うリハビリの大音声の中では私の主張する「這う」と云う考えは殆ど掻き消されてしまいます。 そこで在宅寝たきりの障害者がベッドの上や車椅子の上でどの様なリハビリが可能でしょうか?

 此様な問題を抱えて悩んでいる時に偶然藤沢市に赴く事になり、タキザワ式リハに取組む事になりました。現在バイオフィリアの名の下でタキザワプログラムが徐々に浸透しつつありますが、九州ではまだ知名度も低く、私の様な者でも大分の地で本学会の普及に資する事が出来るのではないかと考えて居ります。

 此プログラムの特徴は施設や在宅を問わず極めて安価で、手軽にしかも誰でも行えるすばらしい方法であると信じて行って居ります。 近年話題のパワーリハビリテーションはスポーツジムのトレーニングマシンを利用した竹内教授の優れたアイデアが随所に見られますが、施設リハの一環として利用者もセラピストであるPTも刮目すべき点が多々あります。しかしよくよく見るとバイオフィリアと共通した箇所が多く施設リハを離れた療養棟や在宅に於けるタキザワプログラムが益々重要になって来る様に思えます。

 いづれにしてもリハビリテクノロジーは各国各地域特有の生活文化にマッチしたものでなくてはなりません。 従って私はバイオフィリアが我国の生活文化にふさわしい地域リハビリの1つであると考えて居ります。

 今回皆様方を当地にお招きし様々な形での学会討論が活発に行われます様大きな期待を持って皆様の御参加をお待ち申上げます。