第20回大会
2016年10月29日

富山県高岡市

祝辞

- 障害を克服し、持続可能な高齢社会実現に向けて -

 滝沢茂男

 国際バイオフィリアリハビリテーション学会理事長
 文部科学省指定研究機関バイオフィリア研究所教授

国際バイオフィリアリハビリテーション学会を代表して日本バイオフィリアリハビリテーション学会20回大会開催に当たり、一言ご挨拶申し上げます。

2016年の国際大会を振り返ると以下の2つを目的としてジュネーブで開催されました。1.ジュネーブに本部のあるWorld Health OrganizationWHO)へ障害の克服が可能であり、その手法の研究がすすんでいる事実を知らせること、2.今後「経験から科学へ」より一層その内容を高めるにあたり、WHOと共同して研究活動ができるように協調を働きかけることでした。

我々は日頃ご指導、ご協力いただいている厚生労働省と同省関連法人のご期待にお応えできるよう、日々力を尽くしております。そして今回は厚生労働省のご支援を得て、WHOから講演者をお迎えすることが出来ました。第一の目的は達成できたと確信しています。 

国内大会は富山大会で20回を数えますが、我々はリハ医学の再構築が必要との立場で、多年研究を続けてきました。歩行の再獲得や生活自立の再獲得事実を明らかにし、可能な限り機序の仮説とその証明を明らかにしています。

7月のジュネーブ開催は、当初大会長を予定していた国際リハビリテーション医学会(ISPRM)女性健康委員長・タイ王国テラコンロン大学アリラット教授の希望でした。私たちは若く有能で、野心にあふれた彼女に期待していました。結果として何か事情があったようで大会長を務めきることができませんでした。しかしその間に、組織としてのISPRMへ対して、多年リハビリテーション(リハ)医学の再構築を実現する研究を推進する団体があることを知らせ得たのは一面では大きな成果でした。 

今後ますます高齢者が増えます。人類史上初めて人口ピラミッドが逆転する時代になるのです。どのように扶養するか、高齢者が充実した生活をするためにはどうすべきか。社会保障における諸課題や、生命の自己実現の視点における課題も山積しています。

私たちは高齢者がいつまでも自立生活ができるように、効果に疑問のある現在行われているリハ医学改革するべく研究を続けてきました。冒頭に述べた第2の課題として、研究はリハ医学改革に限らず社会的課題の解決を目指した新たな次元へ進もうとしています。今学会の基調講演に反映されています。 

この学会の最初の大会は2002年開催で、北マリアナ諸島連邦政府との共同開催でした。そこでの私の基調講演は、「高齢者の増加を負の要因としない新たな文明の構築」が題名でした。開催した本年の国際学会と国内学会が真の意味で、この基調講演を可能にする大会になったと確信しています。

本大会で新理事長が選出される予定です。今後の活動がリハ医学改革ばかりでなく、リハ医療の再構築の実現を基礎とした社会のあるべき姿を作る学会に進化することを期待しています。

そして参加者にとり有意義であり、さらに人類に大きな貢献ができることを期待しています。

既に開催済みの国際学会と共に20回を迎える国内学会の開催を皆さんと共に心から祝いたいと存じます。