第21回大会
2017年8月26日

横浜市


   


バイオフィリアリハビリテーション学会
理事 尾沢潤一 

     

社会保障制度の現状と期待

(要旨)
 日本の社会保障制度の歴史を簡単に俯瞰すると、受益者を限定的としたものを端緒としつつ、近代国家への道のりにおいて先進国の制度を活用し、国民全体を対象とする本格的制度へと進化してきている。たとえば、1960年代の国民皆保険制度はその典型であり、当時の高度成長経済の恩恵もあり、社会保障制度が安定的に運営されてきたところである。
  この大規模な制度は、1970年代のオイルショック、90年代のバブル崩壊など大きな経済変化により、また2000年代に入ってからは、高齢化や人口減少の明示的なマクロ変化により大きな転換点に差し掛かってきている。
 現在、社会保障制度を支える仕組み、財政、組織、関係者のディシプリンなど戦後の日本人の倫理観の喪失を背景としたようなマイナスイメージが強くなってきている。国においても多くの関係者が参画して改革論議が盛んである。受益者においても制度に対する不安が増大している。その一方で、制度を支える現場関係者の努力が著しい。
 大規模な制度であるがために、ポピュリズム的、暫定的な改革が行われている面があることは否めないが、今後50年、100年先を俯瞰し、国は制度設計について国民の理解・信頼を得つつ社会保障制度を運営する責任がある。また、既存の医療、年金、介護などの多くの措置について制度の簡素化や合理化を進めつつ、その利用にあたっての関係者の理性的な対応を求める必要がある。
 本稿では社会保障制度を総括的に紹介し、現状と将来に向けての期待に触れたい。