加齢制御医学とリハビリテーション医学の融合とその進歩
 
大会長 順天堂大学大学院 医学研究科 
     加齢制御医学講座教授 白澤卓二

大会長挨拶


 今年のバイオフィリアリハビリテーション医学会総会を8月29日(土)、30日(日)の2日間にわたり順天堂大学で開催させていただくことになりました。今大会はこれまでのリハビリテーション医学が更に21世紀型の学問に発展する為に、最近急成長の著しいアンチエイジング医学の視点を取り入れようという試みでテーマを選びました。加齢に対抗していくのではなく、加齢を制御して適応していくという考え方はまさしくこれからのリハビリテーション医学に必要な概念と思います。

 2つの分野の専門領域の垣根を超え、立場の違いを超えた議論と交流の場につながることを期待しています。リハビリテーション医学は施設基準・配置基準による診療報酬システムを多年用いてきた。これは医学に求められる治癒を基準にしない考え方で、違和感を覚える医師も少なくなかった。今般、これらの基準に加え、「回復度基準を用いる」との中央医療審議会の動きもある。リハ医学に大きな転換・転機が訪れようとしていると多くの医療関係者が感じていると思う。加齢制御医学では、「元気老人を元気のままで」を実現するべく努力してきた。しかし、加齢や骨折後の機能低下から廃用にいたる事や、認知症の発現を阻止することは困難でした。

 
 我々は多年、創動運動(器具を用い健側主導による両側同方向運動による患側受動(他動)運動)による、自律リハ手法を導入した施設の追跡研究を行ってきた。その結果、3割を超える寝たきり状態の患者(利用者)が歩行を再獲得するという成果を明らかにしてきた。さらに認知症の状態の緩和も期待できます。
 本大会では、これらを融合し、「今後の研究のあり方、その社会への反映を如何にするか」に視点を置き、以下の2点を主眼に会議を進めます。
 
1、分子遺伝学の現状を明らかにし、我々の進める自律リハ研究への反映を期する。
2、自律リハ施行を責任をもって実施できる主体の育成を開始する。(対象:理学療法士・作業  療法士・言語聴覚士・医師・看護師・マッサージ師・介護関係者)

 大会長として、今回の学会は医学領域の超越と融合を期する画期的なものとするべく努力を尽すとともに、多くの関係者の参加を期待しています。加齢制御医学とリハビリテーション医学の融合とその進歩に共に手を携えて進みましょう。

参考: 自律リハ(リハビリテーション)(US PATENT7153250)