第27回大会
2023年7月8-9日

慶應義塾大学
日吉キャンパス
来往舎

 

第27回バイオフィリアリハビリテーション学会・第18回IBRC  開催に向けて
―――――パタコロが世界を救う日が来るまで――――――
森田 能子
岡山リハビリテーション病院  
リハビリテーション科専門医

人類を救うというキャッチフレーズはまだ生き続けています。
その救済を必要とする危機が静かに近づいてきていることを当の本人である70代中盤に差し掛かってきた我々団塊の世代も薄々感じだしています。 
膝が痛い。腰が痛い。肩が痛い。指がしびれる。肩こり。そして転倒骨折!周りに山ほどの高齢者の声です。身の回りの様々な動作つまり歩くこと、食べること、排泄すること、身づくろい、着替え、入浴 全部自分でやってきたことなのに人の手を借りないと十分にできない日が確実にやってくることをそろそろ自分のこととして直視しだしています。
私の専門はリハビリテーション医療の専門医なのですがその大切さを医療の中で理解して下さっている医療人も実は本音では多くはないのです。
我々が取り上げている題材があまりにも身近で科学的でないからでしょうね。しかし人生の最後は最も身近な身辺動作をできるだけ1人でできるように何かの工夫がいります。地味な仕事です。
私がバイオフィリアリハビリテーションの創設者の滝沢茂男さんと出会ったのは運命だったと思います。私が彼より長生きしていたら彼の葬式には出向こうと思っているほどです。
彼独特の切り口でこの社会問題に取り組んできて実践した、そしてまだその途上にいることが今回の彼のあいさつ文からも伺われます。彼の母上のやってきたリハビリテーション手法に今後の高齢化社会の解決手法としての可能性を見出して自分の直感で強く信じて行動するその実直さは驚きです。
昔の高校時代の同級生も絶賛していましたね。経済的なメリットばかりを追っかける現在の成功者から見ると何とばかげた発想と吐き捨てられそうですが、そうでしょうか?この長寿社会を若い世代の未来の社会に大きな損失を与えることなく乗り切るには滝沢さんのような発想は必要です。肩書ではありません。私の力不足もあってまだ弾けた成果に至っていませんが、私の考えは科学による証明にとらわれなくてもいいけどね!です。
これから先、この学会そして我々にどんな運命が待ち受けているか分かりませんが地震対策同様に地道に備えておくことがまず第1歩です。“人類を救う”は余りにも大きな命題ですが終わりよければ良しに辿り着けたらやってきた甲斐があると信じています。