理事長挨拶
 

   




理事長
田中敏幸
慶應義塾大学理工学部 物理情報工学科 教授

 


理事長就任にあたって

この度、バイオフィリアリハビリテーション学会の会長をお引き受けすることになりました、慶應義塾大学の田中と申します。リハビリテーション医学は、医工連携により多くの技術を残してきました。現在も技術革新が進み、効果的な装置や器具の開発が進められています。多様な装置を開発することが、リハビリテーションにおける多くのソリューションを生み出していると考えられています。しかし、実際にこれらの技術を利用できるのは、豊かな国の富裕層に限られます。これら富裕層に対するリハビリテーションとは別に、一般の人たちが使うことのできる安価な装置や器具を用いたリハビリテーションがあってもよいと思います。それが一つの大きなソリューションであるはずですが、そのような考え方が浸透していかないのも事実です。バイオフィリアリハビリテーション学会では、医師、理学療法士、大学教員が協力し合って、世界中の富裕層ではない人が日常的に行うことのできるリハビリテーションシステムの開発を目指しています。またそれが、リハビリテーション医学の目指すべき大きな目標であると確信しています。 これまで、バイオフィリアリハビリテーション学会は、ポーランド、イタリア、ルーマニアなど海外の多くのリハビリテーション医学界と連携していく中で、海外でも同じ考えを持った大学教員や医師がいるということがわかりました。日本だけでなく海外の多くの国でも高齢化が進んでおり、リハビリは特殊な人に対する医療ではなく、世界中の人々に必要なものだと考えられています。世界各国の人々がリハビリテーションを受ける社会を考えたとき、バイオフィリアリハビリテーション学会の考えているソリューションは必要不可欠です。現在、海外のいくつかの国とは密に連絡を取り合い、普遍的なリハビリテーションシステムの構築に向けて研究および情報交換を続けています。 このような背景の中、白澤卓二前会長の下で、国際化と海外との連携が強化されました。これを受けて、私の次の仕事としては、海外との連携のものとで、私たちが提案しているリハビリテーションシステムの有効性を示し、国内外に普及させていくことだと考えています。バイオフィリアリハビリテーション学会では、毎年、国際会議International Biophilia Rehabilitation Conference(IBRC)を開催しており、IBRC2016はスイスで開催となりました。IBRC2016にはWorld Health Organization (WHO)からも基調講演をいただき、この学会が世界的に評価されていることがわかりました。多くの国で急務となっているリハビリテーションシステムの革新を、バイオフィリアリハビリテーション学会から発信していきたいと考えています。リハビリテーション医学が新たな局面を迎えるまでに、それほどの時間はかからないと思われます。少なくとも私たちのリハビリテーションチームでは、そのような感触を得ています。